POPs条約とは何か

POPs条約とは何か

POPs条約(ストックホルム条約) は、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)を国際的に規制するための国際条約です。

POPs とは、難分解性・高蓄積性・長距離移動性・有害性(人の健康や生態系への影響)を併せ持つ有機化学物質の総称です。代表例として、かつて農薬として使用された DDT や、電気機器などに利用された PCB(ポリ塩化ビフェニル) が挙げられます。これらの物質は大気や海流によって国境を越えて移動する「越境汚染」を引き起こすため、国際的な枠組みによる対策が必要とされました。
この背景には、1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された 『リオ宣言』があります。とくに第15原則では、「科学的確実性が十分でないことを理由に環境保護策を先延ばしにしてはならない」とする 予防原則 が示され、後の国際的な化学物質管理の枠組みに大きな影響を与えました。

こうした理念を踏まえ、2001年にPOPs条約が採択されました。当初の対象物質は、DDT や PCB を含む 12物質でした。これらの物質は、以下の附属書に分類され、規制内容が定められています。

附属書A:製造・使用の廃絶
附属書B:使用の制限
附属書C:非意図的生成物の排出削減

条約には、採択後も対象物質を追加できる制度が設けられており、POPs検討委員会(POPRC) による科学的評価を経て、締約国会議(COP)が附属書への掲載を決定します。締約国会議は通常2年ごとに開催され、2025年には第12回会合(COP12)が実施されました。
こうした定期的な見直しにより、対象物質は当初の12物質から拡大し、現在では30物質以上が規制対象 となっています。
POPs条約は、国際社会の合意のもと、継続的に改善されながら運用されている国際条約です。

【参考資料】
環境省:POPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)
経済産業省:POPs条約