首回りの冷却に用いられるクールネックリングの多くには、「PCM(Phase Change Material:相変化材料)」と呼ばれる素材が使用されています。PCMは、固体と液体の状態が変化する時(相変化)に熱を吸収・放出する性質をもつ物質です。例えば、氷が水に変わるときに周囲から熱を吸収して冷やす現象も、相変化によるものです。
クールネックリングでは、一般的に体温よりやや低い温度で固体から液体に変化するPCMが用いられ、皮膚を穏やかに冷却できるように設計されています。使用されるPCMとして代表的なものは、飽和炭化水素の一種である「ノルマルアルカン」です。ノルマルアルカンは炭素数によって融点が変化し、その中でも炭素数18の「オクタデカン」は、融点が約28℃前後であり、首回りの冷却用途に利用される例が知られています。
PCMは固体から液体へ変化している間、温度が一定に保たれやすい特性があります。このため、氷のように急激に冷えすぎにくく、皮膚にやさしい冷却が得られます。また、水を凍らせた保冷材と比べて表面温度が低くなりにくいため、結露が生じにくいという利点があります。さらに、相変化の際に熱を吸収し続けることで、一定時間冷却効果が持続しやすい特性があります。製品では首に装着しやすいよう、PCMを乳化またはゲル状に調整し、柔軟性と強度をもつ樹脂製容器に封入して使用されています。
なお、オクタデカンなどの飽和炭化水素は比較的安全性の高い材料とされていますが、リングの内容物が皮膚に長時間付着すると皮膚刺激の原因となる可能性があります。包装が破れて内容物が皮膚に付着した場合は、石けん等でよく洗い流してください。

【参考資料】
ちょっと注目「保冷剤を上手に使う」
【関連】
首の冷却用のクールネックリングを使用する際は、どのような点に注意すればよいか